StudioASPが取材した音楽スタジオ・インタビュー特集(全66回・2014年3月〜2019年10月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

音楽スタジオファイル Vol.27

STUDIO TRI-TONEは2016年12月をもって営業を終了し、跡地には「LANDRUTH(ランドルース)」が新規オープンしました。

下北沢 STUDIOTRI-TONE

STUDIO TRI-TONE について
下北沢南口のライブハウス「CLUB251」系列の音楽スタジオとして1999年10月オープン。南口改札から徒歩30秒、部屋数は音階と同じABCDEFGの7部屋あり、かつてレコーディングで使用していたGstには2ブースを併設。個々にあわせた機材セッティングをはじめ、スタジオ内で飲食可、個人練習も3日前から予約できる等、徹底した利用者目線のサービスとハートフルな音楽環境で、路地裏から下北沢の音楽シーンをサポートし続ける地元密着スタジオ。
STUDIO TRI-TONE お問い合わせ
Studio TRI-TONE公式サイト
世田谷区北沢2-12-10 サウスサイドビル1F
TEL:03-5481-7433
受付時間:9:00〜AM5:00(予約受付 11:00〜AM2:00)

音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 [Closed] STUDIO TRI-TONE 編

このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

Studio TRI-TONE店長 松澤登氏

本日はStudio TRI-TONE 店長の松澤登さんにお話をお伺いします。下北沢に数ある音楽スタジオの中でも老舗だと思います。スタジオをオープンしたのはいつ頃になりますか?

1999年10月にオープンしたので今年で17年目になりますね。下北沢CLUB251の系列スタジオで、ライブハウスのCLUB251と同じビルの2階に、姉妹店であるANDY'S STUDIOというスタジオもあります。

当時の下北沢は今のようにはスタジオは多くなかったですよね。

はい、当時はまだ下北沢にスタジオが少なくて、屋根裏さんと和田楽器さん(今のCAVE BEの上階)くらいしかなかったようです。しかも、和田楽器さんは20時で閉めてしまうスタジオだったらしいです。1999年にうちとガードアイランドさんができて、その後ノアさんがきました。

松澤さんはどのようなきっかけでTRI-TONEに入ったのですか?

このスタジオができて半年くらいの頃に一時期アルバイトをしていた事があるんですよ。その後、別の仕事をしていたのですが、ちょうど10年前、初代店長さんが辞められる時に「店長として引き継いでほしい」と連絡をもらったのがきっかけです。それで2代目店長になりました。

現役のスタッフではなく、しばらくTRI-TONEを離れていた松澤さんに指名が来たのはどうしてでしょうか?

アルバイトを辞めてからも、スタジオ利用客としてちょいちょいここに来ていて、会社の人と繋がりがあったので。それと、初代店長が雇ってきた人の中で、僕が唯一の年上スタッフだったというのもあると思うんですけど、まあ、たぶんそういったことを考慮しての指名だと思います。

TRI-TONEオープン以降、下北沢には音楽スタジオが増えていきました。競争も激しくなっていったと思いますが。

そうですね、お客さんにとっては、色んなスタジオさんを選べるようになりましたね。うちは(当時)レコーディングをやっていて、銀杏BOYZさん等にレコーディングで利用していただいて、一時期は銀杏BOYZさんの影響のお客さんも沢山おられました。

TRI-TONEではリハスタだけでなくレコーディングスタジオもやっていたのですか?

はい、やっていました。2010年頃にレコーディングは終了して、リハーサルスタジオオンリーにしました。その名残で看板には、まだレコーディングと書いてあります。

レコーディング業務を終了して、リハーサルスタジオに特化したきっかけは何だったのですか?

ちょうどスタジオ機材をリニューアルする機会があったのですが、のちにオープンした姉妹店のANDY'S STUDIOにしっかりしたレコーディングシステムを用意していましたので、レコーディングの方はANDY'S STUDIOに任せて、ここTRI-TONEではリハーサルに重点を置いた機材やスタジオ環境、サービスを充実させていく方向に力をいれることにしたんです。

では続いて、松澤さんのことについて教えて下さい。松澤さんはバンドNumber the. (ナンバーザ)のベーシストとしても活動しています。音楽との出会いを教えてください。

楽器を触りだしたのが小学校6年生くらいです。4つ上の兄がドラムやっていまして、それで音楽に興味を持ち、ギター始めました。

影響を受けたバンドやアーティストはいますか?

当時はジャパニーズメタル全盛の頃だったので、LOUDNESS44MAGNUMです。それも、兄や先輩からの影響ですね。中学1年の頃にバンドを組んだのですが、すでにギターがうまい子がいたので、そこでベースになったんです。その時は嫌だったんですけど(笑)。そのままベーシストとして現在に至っています。

中学時代からバンド活動をされているんですね。

そうですね、それからずっとバンド活動をしていました。色んなコンテストに出場してました。決勝がグアム島というのもあり、高校生の頃グアムに行けました(笑)。

コンテスト決勝がグアム…、思いっきりバブルの匂いがします(笑)。

バブル全盛です。その後、すぐ無くなってしまったみたいですが…(笑)。

豪気な時代ですよね(笑)。高校卒業後は?

高校卒業後は、バンド活動のために地元の長野県諏訪市から上京してきました。それから、ずっとバンド活動をしながら、サポートでベースを弾いたり、音楽と別の仕事をしたりしているうちに、ここのスタジオに入ることになって今に至ります。

最近のバンドの活動状況はどうですか?

マイペースなんで中々動きませんが、在籍はしていますよ(笑)。

最近のバンドはスタジオ練習の時間が短くなった

では、すこし経営的な質問をさせて下さい。下北沢をはじめ都内主要エリアの音楽スタジオの競争が激しくなっていますが、スタジオ業界事情がどのような感じなのか聞かせて頂けますか?「バンド練習」というもの自体が減っているという話も聞きます。

スタジオ業界全体としては年々難しくなってきているのではないでしょうか。バンド練習に関しては、スタジオに1時間で終わられる、というお客さんが目立つ様になりましたね。昔は週2、3回、定期的にバンド練習を入れているようなお客さんが多かったんですけど、今は、そういうバンドは少なくなってきている気がします。

バンド活動をするなら、それくらいはスタジオに入らないと上手にならないと思うのですが…。

僕らが若い時にやっていた頃とは「情報量」が違うので、闇雲に練習に入らなくて良くなったのかもしれません。スタジオに入る時間を短くしても練習が成り立つようになってきているんだと思います。

なるほど、効率的にスタジオを使うようになってきているのですね。TRI-TONEが他店と差別化しているところなどの話を聞かせてください。

とにかく、出来ることをやっていこうと思っています。いつも気持ちよく使って頂くように設備や機材を徹底的にメンテナンスするとか、一人一人のお客さんを覚え、個々に合わせたセッティングを覚え、スタジオ使用前にはお客さんのやりやすいようにセッティングしたりなどしています。部屋をきれいに改装したり、機材をリニューアルしたりするのは当然やって行きますが、やはり頻度に(予算などの都合で)限度がありますので。

TRI-TONEを利用してくださる常連さんは大切にしていきたい

個々に合わせたセッティングまで? それは、利用者にはすごく嬉しい配慮ですよ!

アンプの位置を変えておいてあげるとか、ドラムのタム数を調整するとか、ちょっとしたことですけどね。関西の方のスタジオさんでやっていたというのを聞いて、当店でも実践させて頂きました。TRI-TONEを利用してくださる常連さんは大切にしていきたいので。

やはり、経営的にもリピーターである常連の利用者というのは大事な存在ですよね。

もちろんです。でも、音楽スタジオでは、常連さんに長い間使っていただくということがとても難しいんですよ。長く活動されてるバンドさんって以外と少なかったり、引っ越してしまったら交通事情も変わってしまいますからね。

時代とともにお客さんの層が入れ変わっていく感じでしょうか?

そうですね。なので、新規のお客さんにも利用しやすく、そしてここを音楽活動のホームグラウンドとしてもらえるように、とにかく気持ちの良い接客、小さな気配りなど、気付いた事を出来ることをやってけたら、という思いで日々努力しています。

アクセス面でいえば、TRI-TONEは立地的に駅からものすごく近い、という強みがありますね。

たまたまこの物件が空いていただけだと思うんですが、それでもラッキーですね。ただ、南口改札からの距離は圧倒的に近いんですが、裏通りにあるので、結構迷われる方もいますね(笑)。ここ何年かは明るくなりましたが、以前、夜はちょっと怪しい雰囲気の通りでした。

たしかに雰囲気的には、ここ何年か前に明るくなったイメージです。

なので知名度的にも、未だに「こんな所にスタジオあったんだ?」って言う方もいます。

ところで、最近はガールズバンドが増えたと聞きますが、TRI-TONEではどうでしょうか?

確かに女性のバンドは多いですね。学生さんは女子の方が多いです。ちなみに、うちはガールズ割引もやっていまして、メンバーに半分以上女性がいたら、割引になります。

それは面白い! 最近始めたサービスですか?

ガールズ割引は、かれこれ半年から1年くらいやってます。昔は、3ピース割引など、いろいろなキャンペーンを月替わりでやっていたんですが、月替わりだとキャンペーン期間が短くて定着しにくいので、最近は少し長めの期間やっています。ぜひチェックしてお得に練習してください!

それでは最後になります。TRI-TONEからのメッセージをお願いします

理想としては、『アットホームで血の通った接客』を目指しています。サービスも、業務的な受け答えではなく、一人一人のお客様に見合ったサポートが出来るよう心がけています。地域密着、シモキタに根ざして頑張っていきますので、ぜひ一度遊びにいらしてください。ちなみに、個人練習は3日前から予約出来るようになってますよ! 皆さんが不便に思っている所を少しでもケア出来れば幸いです。

その個人練習の予約情報、何気に仰天の小ネタです! 本日はありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2016年4月)
2017年2月16日更新

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下北沢駅
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小田急線と京王井の頭線の2線が乗り入れる。現在、小田急線の地下複々線化工事中で、2016年5月21日より地上1階(改札階)と地下3階(急行線階)を結ぶ本設エスカレーターの使用開始。開かずの踏切がなくなり、ピーク時の混雑緩和などのメリットの一方、乗り換えや改札を出るまでに時間がかかるなど不便な側面も。2017年度に複々線化が完了、新駅舎は2018年度に完成予定。
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