StudioASPが取材した音楽スタジオ・インタビュー特集(全66回・2014年3月〜2019年10月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

音楽スタジオファイル Vol.16

Gourdisland studio下北沢WEST店

Gourdisland下北沢WEST店 について
1987年、梅ヶ丘にて創立。その後、都内に複数の店舗をかまえるま拡大。かといって、かつてないほどの数のリハーサルスタジオが増えた現状においても、熾烈な客引き競争にも参加せず、淡々と自らのペースを保つ稀有な側面をみせる。その一貫した姿勢が功を奏し、『街の日常に溶け込んだスタジオ』として不動のポジションを得たと言っても過言ではない。また、各世代ごとの新進気鋭ミュージシャン達がスタッフとして働いていることでも知られている。ミュージシャン本来の性質を見事に体現したスタジオである。
Gourdisland下北沢WEST店 お問い合わせ
Gourdisland公式サイト
※予約がない場合は25時クローズ。

音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 ガードアイランド下北沢ウエスト 編

このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

ガードアイランドスタジオ下北沢ウエスト店・店長 青木直士 氏

ガードアイランド下北沢ウエスト店長、青木直士さんにお話を伺います。よろしくお願いします。ガードアイランドスタジオは下北沢以外にも複数の店舗がありますね。

ここ、下北沢ウエスト店の他に、南口の下北沢店、明大前店、梅ヶ丘店、蒲田店があります。最初は梅ヶ丘の一店舗でスタートしました。

他社のスタジオ、たとえばGATEWAYさんから名称が変わった店舗があるなど、少し混同してしまうのですが何か関係があるのですか?

現在までに至る経緯がいろいろややこしいのですが(笑)。GATEWAY STUDIOにはもともとオーナーが三人くらいいて、うちの社長もその一人として上北沢と用賀と蒲田でスタジオを経営していました。

なるほど、最初はGATEWAY STUDIOとして数店経営していたのですね。

それと、二子玉川でライブハウスも経営していたのですが、経営難により、上北沢と用賀のスタジオ、そしてそのライブハウスの三店舗を手放すこととなりました。

二子玉川のライブハウス、といえばもしかして『二子玉川PINKNOISE』ですか?

そうです! そういうわけで、生き残ったGATEWAY STUDIO蒲田店が、現在ガードアイランド蒲田店となっています。

なるほど、これでGATEWAYさんとの関係はハッキリしました。

それと現在、梅ヶ丘店が入っているビル(梅ヶ丘駅前ビル)は、二階がガードアイランドで、三階・四階がRinky Dink Studio(梅ヶ丘店)になっているのですが、一時期、二階もRinky Dink になっていた時があります。でも「いらないので二階はガードアイランドさんにお返します」ということで、再度ガードアイランド梅ヶ丘店になっています(笑)。

ユーモア溢れる展開ですね…。

まあ、「いらない」と言われちゃったらしいので(笑)。GATEWAYの時に手放した上北沢と用賀のスタジオもRinky Dink Studioになりました。(※Rinky Dink Studio 用賀店 2014年11月閉店)

そういうことだったんですね。現在はガードアイランド一筋、という解釈でよろしいですね?

ですね。今は正真正銘ガードアイランドの名前で経営しています。

社長さん、かなり精神的にタフな方というイメージがします(笑)。

実際、経営にあまり向いていないタイプの人間というか、社長というよりは昼真っから飲んでる陽気なおじさん、と言ったほうがいいかもしれないですね(笑)。

う〜ん、魅力的!

飲みすぎで一回倒れてしまったので、今は静かに夜だけ飲んでますよ。

結局飲んでるんですね(笑)。でも、そのマイペースぶりで、多店舗スタジオを展開しているのはスゴイですね。

まあそうですよね。いろいろ背景があるようですが(笑)。

バンド練習でガードアイランド明大前店を使っていたのがきっかけでスタッフに。

では次に、青木さんが、そんなガードアイランドの店長に至る経緯について教えてください。

バンド練習でガードアイランド明大前店を使っていたのがきっかけです。バンドがスタッフと仲良くなって、まずはメンバーの一人がガードアイランドで働くようになり、続いて僕も同じように働くことになりました。

ガードアイランド利用者の一人だったのですね。いつ頃のことですか?

大学時代なので7,8年前になりますね。最初は上北沢店と下北沢店に、その後、明大前店に1年ほど勤務したのちに、ここ下北沢ウエスト店にきて店長を6年ほどやっています。

大学時代に音楽活動をしていたのですね?

大学の音楽サークルに入っていました。大学の先輩には、54-71の高田さんや、渋谷のライブハウスLUSH店長の田中勝さんなどもいましたよ。高田さんはガードアイランド明大前店で働いていました。

LUSHの田中さんは以前取材しました(ライブやろうぜ!ステージファイルSHIBUYA LUSH編)。つながるものですね。青木さんが楽器を始めたのはいつですか?

高校生のときにドラムを始めました。ミッシェルガンエレファントやザ・ハイロウズ、ハイスタンダードやB-Dashなんかのコピーバンドをやっていましたね。

では楽器デビューとしては高校時代ですか?

正確には、中学、高校と吹奏楽部でチューバをやっていました。吹奏楽部では一切ドラムにふれていないので、ドラムデビューは高校からです。

まったく別物としてやっていたのですね。どちらも楽しかったですか?

はい、完全に別ものとして捉えていました。実際はチューバのほうが全然上手いですね(笑)。もう何年も吹いていませんが、今でも吹けると思います。何しろ、中学時代の吹奏楽の先生がとても厳しかったので、鬼のように練習していましたから。

いわゆる体育会系吹奏楽部?

練習量は凄まじかったですね。人間関係は体育会系ではありませんでしたが。

チューバの練習する場所って限られてきそうです。ガードアイランドでチューバの練習している人いますか?

チューバを持ってきた人は見たことないですが、スタジオじゃないと練習できない楽器ですね。もしくは河川敷とか(笑)? でも、公園でもチューバを練習している人はあまり見かけませんね。

下北沢だけでも11店舗くらいある。実際この中で生き残るのは大変だと思いますね。

下北沢ウエスト店の利用者は、いわゆるバンド系の人たちが中心になるのでしょうか?

はい、基本的にはバンドでの利用がメインですが、最近はアカペラ和太鼓の人たちも利用してくれるようになりました。あとはスタジオ内に鏡があるのでダンスの練習でも使っていただいています。

アカペラや和太鼓は盛り上がっていると聞きますね。先日取材した下北沢のライブハウスでは、とある大学のアカペラサークルに利用されて「アカペラの聖地」と言われているそうです。

おお、下北沢エリアでアカペラがそんなに盛んになっていたとは。確かにアカペラのお客さんは学生の方達が多いですね。

ところで、下北沢はライブハウスもスタジオも、どんどん増えていますよね?

いやもうホントに増えまくりですよ。多すぎ(笑)! Studio NOAHさん、Rinky Dink Studioさんという二大巨頭を筆頭に、下北沢だけでも11店舗くらいあるはずです。

スタジオ経営的には激戦区、正直、競争が激しいエリアだと思うのですが。

はい、実際この中で生き残るのは大変だと思いますね。まあ、だからといって具体的に、生き残るための“術”を使っているかといったら、全くしていないのが僕らなんですが(笑)。

それでも、ガードアイランドは下北沢2店舗が長い間、健在です。

そうですよね…。うちはRinky Dinkさんのように楽器を預かるスペースも少ないし、NOAHさんのようにとんでもなくキレイってわけでもないし…。あえて胸をはれるのは「駅からめちゃくちゃ近い」というところだけ、という気もしているんですが(苦笑)。

駅からは近いです! 予想以上に近くて、僕も一旦お店の前を通り越しちゃいました(笑)。

駅のホームに看板でも出せるといいんですけどね(笑)。ただ、下北沢駅西口はメインのストリートというわけではないので、現状だとそれほど多くの人には知られてないかもしれません。知っていただければ、この近さは驚きだと思います。

バンドマンは面倒くさがりやが多いので、この近さはポイント高いはずです。

そうですよね。下北沢で駅から一番近いスタジオなのは間違いないです!あれ、これスタジオのアピールとして正しいのかな(笑)?

僕のイメージになりますが、ガードアイランドの魅力は、リハスタのなかでも、良い意味で「ずば抜けて飄々としたスタジオ」であることだと思います。

本当にその通りです! いつの間にかリハーサルスタジオ業界に入り込んだ、隙間産業のようなスタジオだと思います(笑)。

競争しすぎない良さというか、「出しゃばっていない感」に居心地の良さがあります。

本当に何もしてないんですけどね。良くも悪くも、緩いのかな(笑)?

その飄々さが確固たるポジションをキープしている理由かと。人に例えるなら『優しい東京人』というニュアンスが適切かな。

リハーサルスタジオ業界での立ち位置を考えると、結果的にそういう感じですかね。意図的に飄々としているつもりはないのですが。アットーホームなスタジオですが、それでも近すぎず、それでいて冷たくもない距離感を保っているかもしれませんね。

ガードアイランドがお客様に支持されている理由の一つではないでしょうか。その雰囲気が全店舗で共通しているのも魅力です。

確かにそうかもしれません。まあ、用賀店と上北沢店は無くなってしまいましたけどね(笑)。

多少の浮き沈みはしょうがないということで(笑)。それでは最後になりますが、青木さんからのメッセージをお願いします。

肩肘を張らずに気軽にご利用頂けるところがガードアイランドスタジオの良さだと思います。皆様のご来店ぜひともお待ちしております!

このリラックス感、読者の皆様に伝わっているといいのですが(笑)。本日はありがとうございました。

ありがとうございました。

ガードアイランド下北沢ウエスト店 スタッフ弘中聡氏(左)店長 青木直士氏(右)
インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2015年11月)

インタビュー特集一覧(バックナンバー)

バンドメンバー募集のメンボネット ミュージックジョブネット
下北沢駅
下北沢はライブハウス・ライブバー・音楽スタジオが密集する東京都内屈指のミュージシャン街である。ガードアイランドスタジオ下北沢ウエスト店のある西口は下北沢駅の新駅舎計画で地下・高架化が進行する中唯一「下北沢駅らしさ」を残している出口。
skillkills
ガードアイランド下北沢ウエスト店 スタッフ弘中聡氏がドラマーをつとめる「skillkills」が2016年1月28日新代田FEVERで無料ワンマンライブを行う。チケット予約・ライブスジュールはこちら
ガードアイランド店舗情報
下北沢南口店は1フロアにリハーサルスタジオ全6部屋(9帖×4、12帖×2)。スタジオ内喫煙OK。下北沢南口商店街まっすぐ徒歩2分。モナレコード手前、ダイコクドラッグと昭和歯科があるビル3階。ピンクの看板が目印。
明大前店は3フロア(1F〜3F)にリハーサルスタジオ全7部屋(25帖、14帖、12帖×2、9帖×3)。全室禁煙。一番広いEstではスタジオライブ可能。京王井の頭線「明大前」駅から線路上の橋を渡って徒歩3分、牛角の上。
[2020年7月4日にて閉店] 梅ヶ丘店は1フロアにリハーサルスタジオ全5部屋。A,B,Dst7~8帖、Cst10帖、Est25帖+ブース付き。全室禁煙。小田急線「梅ヶ丘」南口から徒歩30秒と駅近、1Fハウジングプラザ横の階段で2Fへ。
  • 住所:世田谷区梅丘1-21-7 2F
  • TEL:03-5799-6169
  • 営業時間:24時間/年中無休
蒲田店は1フロア(B1)にリハーサルスタジオ全7部屋(10帖×5、15帖×2)。全室禁煙。Dst(15帖)にはMESA BOOGIE RECTIFIEを含むギターアンプ4台。JR京浜東北線「蒲田」駅西口より徒歩2分。