StudioASPが取材した音楽スタジオ・インタビュー特集(全66回・2014年3月〜2019年10月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

音楽スタジオファイル Vol.63

武蔵小金井 studio34

studio34 について
ジャンルや世代に関係なく『どなたでも使いやすいスタジオ』がモットー。明るく開放的なロビー、初心者からベテランまでウェルカムな音楽空間。気持ちよくプレイできるほどよい鳴りとメンテナンスの行き届いた機材、ミラーを完備した全7部屋。13.5畳の「7st」にはレコーディング機材を常備。通常スタジオ料金のみでバンドのセルフレコーディングができ、DAWやレコーディング機材にくわしいスタッフが親切にサポート。中高生向けの割引プランも充実。武蔵小金井駅北口徒歩3分。
studio34 お問い合わせ
studio34 公式サイト
東京都小金井市本町 5-14-14 B1F
TEL:042-386-0034
営業時間:10:00〜(予約状況による)/定休日なし

音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 studio34 編

このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

studio34店長 森崎世記 氏

本日は、武蔵小金井のリハーサルスタジオ「studio34」 店長の森崎世記さんにお話をお伺いします。オープンの時期と経緯をおしえてください。

2004年6月のオープンです。当スタジオの親会社である「Mermaid Company」という音楽制作会社のスタジオ部門として立ち上げました。

森崎さんがstudio34に入ったのはいつごろですか?

僕は「Mermaid Company」のアシスタントだったので、studio34の立ち上げから関わっています。店長としてスタジオに入ったのは2012年ごろですが、それまでも機材の修理やメンテナンスで、時おり様子を見にきていました。

音楽制作会社が母体のリハスタなのですね。どのようなスタジオづくりを目指したのでしょうか。

従来のスタジオによくある、ごちゃごちゃした感じだったり、顔見知り以外は入りづらい感じだったり、いわゆるバンドマンのたまり場的なイメージから脱却しようということで、物件探しの段階から「どなたでも使いやすいスタジオ」をテーマに、スケルトンから作りました。

リハスタの印象として根強い「ロック系バンドマン」でなくても安心なイメージ?

ご年配の方や女性おひとりでも、気兼ねなくご利用いただけるように、明るくて清潔な雰囲気とていねいなサービス対応を大切にしています。また、学生さん向けのサービスも充実していて、中高生は平日バンド練習が1,060円から可能です。

周辺には音楽ホールや楽器店もあり、地域市民による音楽活動も盛んなエリアですね。

はい。駅からも近いですし、中央線沿線で活動されているバンドマンはもちろん、世代やジャンルに関係なく、幅広いお客さまに親しんでいただける間口の広いスタジオ運営を目指しています。

つづいて、studio34のサウンド面の特徴をおしえてください。

生楽器やドラムの繊細な鳴りが消えないように、「デッド」になり過ぎないようにしています。とくに、大手のリハーサルスタジオではデッドにする傾向があるようですけど。

ある程度、部屋の響きは大事にしているということですか?

はい、大きな音を鳴らすバンドにはデッドな方がよいのかもしれませんが、デッドにしすぎると、とくにシンバル類が(吸音されて)響かないんですね。そのあたりは意識しています。

セルフレコーディング可能。録音セッティングも手伝います

響きがあるとスタジオや各部屋の特徴がよく現れますね。

どちらも一長一短あり、好みの問題だと思いますが、お客さまからは「ここのドラムの鳴りが好きなので、他のスタジオだとやりづらい」とおっしゃっていただいています。

鳴りが良いスタジオですと、生楽器のレコーディングにも良さそうです。

通常のスタジオ利用料金だけで簡単なレコーディングができるように、オーディオインターフェースを常設している部屋があります。本来はレコーディングスタジオを利用すればよいのですけど、アマチュアバンドには予算も時間も限られていますからね。

リハーサルスタジオを使って、簡易的に録音したいという人は多いと思います。

そうですね、最近はPCを使って制作やミックスダウンも自分たちでこなす人たちもいますが、録音の段階でしっかり録っておかないと、最終的な作品のクオリティーが上がりません。セルフレコーディングの際は、適切なマイクポジションセッティングからお手伝いします。録音作業で困ったことがあれば、いつでも呼んでいただきたい。

REC初心者でも心強いですし、音楽活動のステップアップにもつながりますね。

とくにドラムのレコーディングはスタジオでないと録れませんから、みなさんに喜んでいただいています。ちなみに、普段のスタジオ利用の延長で気軽に録音してもらいたいので、これらのレコーディングに追加料金はいただきません。

それではつづいて、森崎さんのご出身、音楽との出会いやこの業界に入るきっかけをお伺いします。

出身は埼玉です。小学校2、3年のころ、父親が弾くのを断念して家の隅に放置されていたボロボロのギターを発見したのが出会いですかね。父親に習いたくても父親は弾けませんから (苦笑)。教則本を買ってきて、自力で勉強しました。

ギターの「教則本」というのがいいですね。

はい、インターネットどころか家庭用のビデオレコーダーも高価な時代でした。独学で少しずつ覚えて、中3のころから人前でも演奏するようになりました。

"ボーヤ"として呼ばれた、初めてのレコーディング現場に感動

隅に押しやられていたギターもようやく日の目を見たわけですね(笑)。

でも、はじめて人前でギターを演奏したときのことは、正直、あまりよく覚えていません(笑)。友だちに頼まれてやったのだと思うのですけど。リッチー・ブラックモアが好きで、ハードロックやメタルに凝ってはいましたが、演奏はあまり…(苦笑)。

どのようなきっかけでアシスタントになられたのですか?

大学時代のバイト先に、音楽制作会社に転職した人がいて、その人に「ボーヤ(ローディー)」としてレコーディング現場に呼ばれたのがきっかけです。

その時点で、森崎さんにレコーディングやエンジニアの知識もあったのですか?

いいえ、大学のサークルでPAを担当した程度で、レコーディングはほとんど未経験者でした。「とりあえず車の免許があって、ギターが弾ければいい」という条件で(笑)。僕自身も、バイト感覚でした。

はじめてのレコーディング現場はどうでしたか?

業界のトップの方ばかりの現場で、とにかく感動しましたね。それまで知っていたものとは、まったく別の世界が広がっていました。「すごすぎる!」と衝撃をうけました。その音楽制作会社が今の会社で、現在のスタジオ運営へと至ります。

といっても、ほとんど経験なしで現場に入ったわけですよね? どうやって技術を習得していったのですか?

そうですね…。技術を身につけていった流れは、レコーディング手法が変化していったことと関係していて、少し話がさかのぼります。当時のプロレコーディングは、SONYのPCM-3348というレコーディングスタジオに置いてあるMTRが主流でした。そのため生楽器の録音はもちろん、シンセの打ち込みなど、ほとんどの作業をスタジオで行っていて、録音に関する仕事が山ほどあり、なにかと手伝いが必要だったんですよ。

まだDAWの時代ではないですからね。だから現場の手伝いとして呼ばれたと。

はい、シンセなどのデジタル音源もシーケンサーに演奏データを打ち込んで、そのデータをスタジオに持ち込んでいました。スタジオでそのデータを再び立ち上げてシンセや音源を再生、その音をMTRに録音する…、というような流れで、そのような作業を専門にやるオペレーターさんが来ていました。

"どなたにも使いやすいスタジオ"をモットーにサポート

今ではパソコンが得意とするような分野の作業も人力が必要だったのですね。

まもなくして「ADAT」のような個人でも買えるデジタルMTRが出てきました。なので、シンセなど自宅で録音できるものは、作曲家やミュージシャンがADATで録音したものをスタジオにもってきて、タイムコードでひっかけてMTRに流し込んだり、そのままミックスしたり、録音の工程が大きく変化しました。(※ADAT 1991年に発売されたS-VHSテープを使った8チャンネルデジタルMTR)

ADAT登場からのレコーディング手法の変化については、多くのスタジオ関係者が証言していますね。

弊社でも、徐々にそういった作業専門のオペレーターを呼ばなくなってきて、でも、そうなると現場には実質、僕だけしかいないわけですよ(苦笑)。そこで初めて、実際のレコーディング作業に関するノウハウを勉強して、すべて現場で覚えていきました。

技術的な変化もあると思いますが、森崎さんの現場対応力の高さを感じます。

というか、新しい潮流のなかで技術を覚えざるを得なかった(笑)。今となってはプロ・ツールスもある時代ですから、すべてこの現場で出来るようになりましたけどね。

レコーディング技術の移り変わりのくわしいお話、ありがとうございます。それでは最後にstudio34からのメッセージをおねがいします。

studio34は全7部屋のうち、小さいスタジオでも10.5帖あり、都心のスタジオと比べても料金、使い勝手ともにメリットを提供できると思います。また、機材の調子がよくないときや困ったことがあれば、遠慮なくご相談ください。「ちょっと遊びに来ました」という方から「とことんやりたい!」という方まで、どなたにも使いやすいスタジオを目指して、スタッフ全員でバックアップします。

頼れるスタッフが常駐する武蔵小金井の音楽スタジオ「studio34」からお届けしました。本日はありがとございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2019年7月)

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武蔵小金井(小金井市)
小金井市のほぼ中央を走るJR中央線の駅。1924年に観桜のための仮乗降場として開業。小金井街道を北上すると、玉川上水に沿って約80haの広さを誇る「小金井公園」がある。園内には桜の園、江戸東京たてもの園、体育館や野球場などのスポーツ施設、SL展示場、広場や雑木林が広がり、市民の憩いの場となっている。
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