音楽スタジオファイル Vol.40
恵比寿 Sugar Soul Records
- Sugar Soul Records について
- 恵比寿駅から徒歩6分の閑静な住宅街にあり、エンジニアが経営するスタジオならではの音の鳴りと機材にこだわったレコーディング・リハーサルスタジオ。全室に大出力PAアンプを導入し、プロユース仕様でありながら、リーズナブルな料金設定で、長時間のリハーサルやレコーディングも快適な環境。隠れ家的ロケーションからプロミュージャン、レコード会社やプロダクション、楽器メーカーなど音楽業界関係者の利用も多く、アマチュアバンドマンに嬉しい還元率日本一のスタンプサービスも実施中。
- Sugar Soul Records お問い合わせ
- Sugar Soul Records
[閉店] 渋谷区恵比寿南2-21-8 恵比寿ファインヒルB1F
TEL 03-5725-7980
FAX 03-5725-7981
音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 恵比寿 Sugar Soul Records 編
このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
Sugar Soul Records代表 柄沢達也 氏
本日は恵比寿の閑静な住宅街にあるスタジオSugar Soul Records代表でエンジニアの柄沢達也さんにお話をお伺いします。スタジオがオープンしたのはいつ頃ですか?
2000年10月にオープンしたので、今年で17年目になりました。ご覧の通り小さいスタジオですので、一般的なスタジオとは少し違う雰囲気かもしれませんね。
Sugar Soul Recordsスタジオの特徴について教えてください。レコーディング、リハーサルのどちらの利用が多いのでしょうか?
レコーディングに力を入れていますが、もちろん、リハーサルでもご利用頂いております。リハーサル用のA・B・C各スタジオは(部屋の鳴りが)デッド気味で、音が分離するので他のパートが聞きやすくバンド練習しやすいと思います。レコーディングとリハスタ兼用のDスタは、ライブな鳴りで、迫力やグルーヴが出るようになっています。録音の際はパーテーションを使ってコントロールしています。
柄沢さんはいつからエンジニアをされているのですか?
20歳ぐらいからやっているので、かれこれ35年になるのかな。PAもやりましたけど、基本的にはレーベル、制作などのレコーディングの現場でやってきました。
柄沢さんがSugar Soul Recordsとして独立したきっかけについて教えてください。
時間に縛られることなく「自分寄りの仕事」もしたかったので、自分のスタジオとレーベルを立ち上げました。
大手スタジオか、小さくても個性的なスタジオに二極化
少し経営的な話を聞かせてください。近年、音楽スタジオの数も相当に増えましたが、業界の内情はどんな様子でしょうか?
二極化してきていると思います。おおよそ全ての機材や環境が整っている大手スタジオか、それ以外は、小さくても、ある方向に特化した個性的なスタジオがなんとか生き残ってる状況じゃないでしょうか。
なるほど、利用者の客層も、うまいこと住み分けされている感じですか?
そうですね、大手スタジオを使い慣れてるお客さんにとっては、小さいスタジオは苦手だろうし、その逆も然りじゃないですかね。大手のスタジオさんは、比較的若い層でバンド等をやっている人たちをターゲットにしていると思うのですが、当スタジオではビギナーからプロ、ご年配方ベテランと幅広い感じです。
コンパクトさのメリットとしては、お客さん個々と密に向き合えそうですね。
そうですね。うちに関しては、やはり個人で営業している分、お客さんにとって、いろんな意味で好き嫌いがハッキリすると思います (笑)。
最近は、スタジオでレコーディングする需要も減ってきているという話を聞きます。そのあたりの影響についてはどうですか?
以前は日々日々、寝る間もなくレコーディングのルーティンでしたが、とくに(2011年の)震災以降変わりましたね…。
もう少し詳しくお伺いしてよいですか?
業界全体で予算が少なく、競争も激しくなっているので「おいしい仕事」が無くなりました(笑)。リハーサルの話になりますが、以前は、事務所やレーベルさんがスタジオを3日おさえておいて1日しか使わない、なんていう贅沢な使い方も多々ありました。今はスケジュール進行もタイト。ロックではなく2~6時間くらいの予約で、きっちり使われて、しっかり締める、という方が増えました。
う〜ん、制作予算が削減されているのですね。
スタジオの場所柄(恵比寿)もあって、プロの方、音楽事務所関係の方には、引き続き使っていただいているのですが、アマチュアの方の使用頻度は大きく減りましたね。プロでさえ厳しい時代ですから。
近年は都内の老舗レコーディングスタジオの閉業もよく耳にします。
スタジオの数は減っていますが、エンジニア自体はある意味、旬な人気商売でもあるので、忙しい人はすごく忙しいと思いますよ。フリーランスで活躍されてるエンジニアも増えましたよね。でも、アマチュアのミュージシャン、クリエイターが、プロを目指して一生懸命に練習しようという人は減ってしまったように思います。
夢を持ってやっている方々のセッションに全力を尽くす
プロを目指すミュージシャンが減っているというのには危機感を感じます。こんな状況下、Sugar Soul Recordsスタジオではどういう方向性を目指していますか?
不況でも、基本的に音楽そのものは永遠になくならない、そこが肝、というか希望じゃないですか。いつの時代もビジネスライクで、プロフェッショナルな音楽というのはあると思いますが、うちみたいな、純粋に音楽が好きでやっているというスタンスの小さなスタジオが、夢を持ってやっている方々のセッションを毎回、全力でベストを尽す、それを続ける事が大事だと思っています。
そのスタンスが利用者に支持されて17年目を迎えることができたのですね。
確かに自分も馴染みのお客さんも年とったなぁ(笑)。やはり、昔からの常連さんと、そこからの紹介で一度気に入っていただけると、ずっと使っていただける、というのはうちの強みかもしれません。
では続いて、柄沢さんと音楽の出会いについてお聞かせください。
小学3年の頃、親父にギターを教えてもらったのがはじめての楽器です。その後、ベースに転向しました。自分が若い時、世代的にバンドブームで「バンドで飯を食いたい」と思っていました。
本格的に活動していたのですね。どのようなバンドを組んでいたのですか?
学生時代のバンドはロック系でしたが、その頃からブラックミュージックからミニマム系、打ち込み系も大好きでした。いわゆるミクスチャーではありませんが、ノンジャンル、ボーダレスですね。
実はエンジニアに、さしたる夢があった訳ではなくて…(笑)
ベーシストからエンジニアに転向したきっかけは?
20歳頃にレコーディングの現場を体験して、こっち側も面白いなあと思って。テクノや音響系も好きだったので、バンドと並列してやるようになりました。
早い段階にバンドマンからエンジニアになられたのですね。
実はエンジニア自体に、さしたる夢があった訳ではなくて(苦笑)。ただ、仕事をしないと飯が食えないということで始めたのですが、気付いたらいつのまにかこんなとこまで来ちゃいました。バンドで飯を食う予定だったはずが…(笑)。
好きなものだけに、向き不向きがありますからね。エンジニアの方は長続きしたのですね。
そうですね、考えた事もなかったですけど。それと、ジャンルに関係なく「良い物は良い」という主義で、古い新しいも関係なく、ボーダレスになんでも聞いていたのがエンジニアに向いていたのかもしれません。
ハードロックやメタルも聴きますか?
もちろん! 中学時代にツェッペリンの洗礼を受けていますので(笑)。ツェッペリンはリズムセクションが本当によかった。ツェッペリンの音楽は、今聴いても新しい感じがする。
今でもツェッペリンをリスペクトしているバンドは多いですよね。
世間で言われているような「メタルの元祖」としてだけじゃなく、色んな音楽性が入った他に類を見ないバンドですよね。アルバムに必ず1曲はプログレ入っているし、アルバムも出す度、毎回音もカラーも違う。ビートルズの後期とかもそうだよね。今でも大好きですけど「よくこんなのが売れたな」って思います(笑)。
それも柄沢さんのルーツになっているのですね。では、最後になりますが、Sugar Soul Recordsからメッセージをお願いします。
若い頃に音楽をはじめても、25歳とか30歳とか、ある年齢が来るとなぜか辞めちゃうじゃないですか? 音楽活動を続けることは、必ず自分のプラスになるし、もしかしたら人のためにもなるかもしれない。ひとりでも出来るし、一生、続けて良いものなんですよ。わざわざ辞めたりしないで、ぜひともやり続けてください!
そうですね、楽しんで生活の一部に取り入れて欲しいです。本日は貴重なお話をありがとうございました。
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