音楽スタジオファイル Vol.11

recording & rehearsal studio Zot

studio Zot
studio Zot について
2011年に野方(中野区)でスタートし2013年に阿佐ヶ谷(杉並区)へ移転。多くのミュージシャンを唸らせるヴィンテージ機材や、楽器の鳴りを最大限に引き出す部屋設計など、贅沢なほどに遊び心溢れる、6部屋とレコーディングブースからなるリハーサル&レコーディングスタジオ。「Zot」という店舗名はオーナーの久恒氏の自主レベール名が由来。「無」、数字のゼロ」「雷」などの勢いのある濁音の響きと、何かが始まるような意味を込めて名付けられた。
studio Zotへのお問い合わせ
studio Zot公式サイト
杉並区阿佐谷北3-41-13
TEL 03-5356-6388
営業時間 10:00-23:00

Sound's cross wizard 音の達人インタビュー

音源制作の「リアル」に迫る!音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして色々お話を聞いてしまおうとうコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

studio Zot 代表/レコーディング・エンジニア 久恒亮 氏
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名古屋出身。学生の頃から音楽に傾倒し、プログレ・バンドを中心に活動。様々なミュージシャンやライブハウスとも親交も深く、Alan Smithee's MAD Universe(活動休止中)やtranskamなどのバンド活動をする傍ら、西麻布のIT企業で勤務するIT戦士でもあった。しかし、その果てることない音楽愛からスタジオワークへと転身。生活の全てを音楽と向き合うことに捧げたプロフェッショナル。

本日はstudio Zot代表の久恒亮さんにお話をお伺いします。野方から阿佐ヶ谷に移転してきたと聞いています。そのあたりの経緯から教えて下さい。

最初にスタジオを始めたのが野方で2011年の夏ですね。信頼出来る友人を1人誘おうと思い、10年来の仲で、現skillkillsというバンドをやっているスグルを誘って始めました。野方の頃は、14畳のスタジオ二部屋でやっていました。ただ、二部屋が埋まったら、その時点で営業が止まっちゃいますし、その上、家賃がものすごく高くて、二部屋なのに今のスタジオ(6部屋+レコーディングルーム)と同じくらいでした。その状況だと経営不振になるしかないのでやめることにしたんです。

スタジオ予約が埋まっていても経営が厳しかった?

スタジオの利用料金を大分安くしていましたからね、今も安いですけど。現在のstudio Zotの場所(阿佐ヶ谷)は、以前『スタジオQKU』という某音響機器メーカー所有の老舗スタジオが入っていて、僕も過去に何回か利用したことがあるスタジオでした。そんな折、不景気により、QKUも閉店してしまうという話を耳にしました。

どの音楽スタジオも経営が激しい時期だったのですね。

野方のスタジオをたたもうと思っていた矢先のことだったので、ここの従業員のパートのおばちゃんに「スタジオをやらせてもらえないか」って話をしに行きました。本当は、QKUの後は、違うものにしようと決めていたらしいのですが、そこで“待った”をかけて、交渉の末、移転先として使用できる事になりました。

野方のスタジオより広くなってスタジオ数も増えたわけですね。

ただ、QKUの撤退で、スタジオからは何もかも持って行かれてスッカラカンの状態だったので大変でしたよ(笑)。野方の二部屋分の機材は持って来ても、部屋数が3倍に多くなったので全然足りませんでしたしね。

移転先としては、最初から阿佐ヶ谷エリアを狙っていたわけではないのですね?

そうですね。実はもう一つ候補の場所はあったんですが、阿佐ヶ谷ってジャズの街と言われてもいまして、そういう面ではスタジオとしてはやりやすい部分もあり決めました。

一発録りも、バラ録りもOK。ジャンルにやバンドごとに録り方をチョイスしてます。

では次にスタジオの話ですが、バンドなどのリハーサルの他、Ast(+コントロールーム)でレコーディングも出来るんですね。

はい、レコーディングのオファーは増えてきています。最近レコーディング機材もどんどん充実してきてます。ドラムもすごく良い音で鳴るんですよ。

入った瞬間、鳴りが良さそうだと思いました。ライブ感ある音が録れそうです。

一発録りバラ録りもいけますよ。録音するバンドによって、ジャンルがバラバラなので、そのバンドごとにあった録り方というのをチョイスしてます。バンドが望む音を言ってくれればその方向に合わせます。

初心者のバンドや、まだ音の方向性が決まっていないようなバンドのレコーディングの時は?

とりあえず音を出してもらったらどういうバンドかというのはわかるので、そのサウンドに対して僕の中で方向性を決めてみて、バンドに確認してみます。すると、「それいいですね」って答えも返ってくることも結構あります。まあ、僕がジャンル問わず結構なんでも音楽好きなので、方向性自体は決めやすいのかもしれません。

それは心強いですね。久恒さんとしてはどんな音楽、ジャンルが好きなのですか?

野方の頃はハードコアノイズグラインドのバンドも沢山録音しました。スタジオをやる前から個人で出張レコーディングみたいな事はしていたので、ホント色んなバンド録ってきてます。どんなジャンルでも面白いですよ。

これまでで印象に残っているレコーディングはありますか?

沢山ありますが、T.美川さん(非常階段)と沼田順さん(ダウトミュージック主宰)がデュオでやってる『mn』というノイズユニットのレコーディングで、2〜3時間でレコーディングして、ミックスも異常なスピードで仕上げたものがありますね(笑)。doubtmusicで音源化されています。(mn『無理難題』

それは速い! 久恒さんに対する信頼あっての鮮度命のレコーディングですね。

僕相手なら色々言えるってのもあって、使いやすいって部分もあったんじゃないかな(笑)。やっぱり勢いを最重視したんでしょうね。逆に、作り込んでいくバンドもいますよ。ジャンルにもよりますが、ダブミュージックなどは作り込んでいくことも多いです。

ところで、Zotは立地的に駅から少し距離がありますが、お客様の出入り状況などはどうでしょうか。

うちは駐車場も無料で複数台おけるし、お客さん用の倉庫などもあるので、機材の多いバンドは利用しやすいと思います。

駐車場と倉庫は機材の多いバンドにはありがたいです。レコーディングスタジオの稼働状況はどうでしょうか。

どうですかね…。波がすごくて安定しないんですよ(笑)。この7月はレコーディングもすごい本数ですが、その後の予定が極端に減ったり…。

季節的な要因で波があるのでしょうか?

いや、それがそうでもなくて、なかなか読めないです。それでも、夏は比較的多い傾向なのかな。でも、正月は少ないです。

学生バンドなど若い方の利用はどうでしょう?

僕らが学生の頃とは違う感覚でスタジオを使ってるんじゃないか?という気はしますね。僕らは、日常の遊びとしてスタジオに入って音を出していたけど、今の子達は、ライブの本番前のリハーサルでまとめて入る子が多い気がします。でも、最近は高校生バンド、女の子多いですよ(笑)。

確かに昔よりに女子メンバーがいる若いバンドが増えた気がします。

そうなんですよ。最高ですよね(笑)。むしろ、男子の方がオタク化してきた傾向があるのかなって思います。ボカロいじったり、宅録してたり…。今は女の子の方が、部活感覚でバンドを楽しんでると思います。

個人経営のスタジオは小さいけど、YouTubeでは勉強できない大切なモノがある。

ノイズ・ハードコアから女子高生バンドまで幅広いですね(笑)。

雇われていた立場から、やりたいと思っていたスタジオを始めて、好きな事をやり続けて食ってる状況はめちゃくちゃ大変なことですが充実してます。金銭的な面では落差が出たりもしますが、それでも毎日好きな事出来てるわけですから。あとは日々勉強ですね。

好きなことに囲まれて生きれてるって凄い事だと思います。それでは最後にStudioASPのユーザーにメッセージをお願いします。

こういう個人経営のスタジオは、一見ボロく見えるかもしれませんが、実はビンテージものの高価な機材が置いてあったり、小さいなりの良さがあると思います。それは、ホーム的な落ち着きであったり、スタッフと気軽に話しやすいという部分であったりもすると思います。今の子達は技術はあるけど、こういう個性のあるスタジオや、曲者機材の使い方を知らない子達も多いと思います。Zotには、演奏技術以外にも、環境技術や機材の面白い使い方など、YouTubeだけでは勉強できないものも山ほどあります。僕たちは、そういった『現場で大切な知識や経験』というのも伝えられると思っています。なので…、『気軽に遊びに来てください!』ってことですね(笑)。

素敵なお話を聞かせていただき、本日はありがとうございました。

こちらこらこそありがとうございました。

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インタビュー&ライター 浅井陽 BLOG / Twitter(取材日 2015年7月)

過去のインタビュー記事はこちら

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Marshall JMP 2959 super lead
「これは79年から81年の短い期間にだけ製造された本当に玉数が少ないレアなヘッドです。簡単に言うと名器で有名な1959にリヴァーブが付いたヘッドです。これぞマーシャルって音がしますね。リヴァーブ具合もなかなか良い感じです。キャビネットも当時のセットものなので今の1960Aよりグンとパワーあります。手に入れる前にオーバーホールされてたんですが、残念な事にロゴプレートがデカくされてしまってました(笑)。」
Selmer amp
「まず見た目が非常にかっこいいです。60年代のイギリスで流行ったアンプで、当時そんなに高くないアンプだったらしいのでこぞってロックバンドが使用していたらしいです。現在だと日本ではNEATBEATSや海外だとWHITE STRIPESなどが使用していて、ガレージ系のバンドがたまに使わせて欲しいって言ってきますね。うちが所有しているのは70年代のTreble n' Bass 50 SV。昔特有のギターとベース兼用のアンプです。改造してあるので良い音します。」
Rhodes piano
「言わずと知れたエレピの王様です。今ある多くのシンセにもヴィンテージローズのサンプリングはかかさず入ってます。ローズは一度聴いたら虜になりますね。以前の野方ではMark1のstage pianoとsuitcaseがはいってましたが、今ZotにあるローズはMark2のstage pianoです。結構これ目当てでスタジオに入る人もいます。」
阿佐谷(杉並区)
「阿佐ヶ谷はセッションマンや管楽器の人も多い落ち着いた街です。ライブハウスもありますしジャズバー、ライブバーもすごく多いです。10軒以上あるんじゃないかな? 割礼というバンドの鎌田ひろゆきさんのお店『ハーネス』とか、『ロックインディア』『ネクストサンデー』『イエロービジョン』等々…。ミュージシャンが経営しているお店も多いですね。ブルースマンが経営するラーメン屋なんかもありますよ。お店にはその人のブルースが流れてたり(笑)。」
今回のサウンドペディアは久恒亮氏による書きおろしです。寄稿ありがとうございました。