音楽スタジオファイル Vol.48
下北沢 LANDRUTH
- 下北沢LANDRUTH について
- 音楽の街・下北沢に2017年1月オープンしたアーティストが運営する新しいスタイルの音楽スタジオ。下北沢駅南口からすぐ。6畳〜14畳の全6部屋でバンドリハーサル、レコーディング、レッスンや楽曲制作にも対応。店内に小さな楽器店「下北沢路地裏楽器店」を併設し、楽器やアクセサリーの販売から修理・調整、買い取りを行うほか、ライブ前の緊急トラブルもバンドマンのスタッフが機転を利かして解決サポート。下北沢で活動するミュージシャンの『声』にこたえるスタジオだ。
- 下北沢LANDRUTH お問い合わせ
- LANDRUTH公式サイト
世田谷区北沢2-12-10 サウスサイドビル1F
E-mail:mail@landruth.com
TEL:03-5481-7433(受付時間 11:00〜22:00)
音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 下北沢LANDRUTH 編
このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
本日は下北沢LANDRUTH 店長の國友晃司さんにお話をお伺いします。この場所には下北沢CLUB251系列の老舗スタジオTRI-TONEがありました。まずはオープンの経緯などを教えてください。
昨年、251がスタジオ事業を手放すと耳にしまして、「僕に(スタジオを)やらせてもらえないか」と相談させてもらったことがきっかけで、今年(2017年)の1月18日、ここに新スタジオとして「LANDRUTH」をオープンしました。実は、僕はCLUB251の店員をやっていた時期がありまして。
そういうことだったのですね。LANDRUTHは251のグループということではないのですね?
はい、スタジオのお話は頂きましたが、251グループではありません。5年くらい前に251を辞めていたのですが、その後も251とは親しい関係にあったので、スタジオ撤退のときに相談にのって頂きました。
バンド活動からスタジオ経営に発展したわけですね?
LANDRUTHは自分とバンドのメンバーで経営しているのですが、僕らは今もミュージシャンとして活動していて、これまでずっと音楽以外の仕事をしながら音楽活動を続けている状態でした。だったら「スタジオを経営しながら、やっていけたら楽しいだろう」ということで、メンバーでスタジオ経営をすることになりました。
スタジオの他に、楽器やアクセサリー類の販売も行っているのですね。
はい、下北沢はライブハウスもバンドマンも多いですが、経験上、このエリアに楽器屋が少なくて不便な思いをしたことがありました。ですので、スタジオ内で小さな楽器店 (下北沢路地裏楽器店)も始めることにしました。ライブ前の緊急時に対応できる、便利なお店にしたいと思っています。
ライブ本番前の困ったことにLANDRUTHで解決できればいい
確かにスティックが折れたりピックアップの調子が良くなかったり、ライブ直前にピンチに陥ることはありますよね(笑)。
ですよね(笑)。ライブの本番前に困ったことがおきたら、やむをえず渋谷まで出ることも少なくなかった。そのあたりもLANDRUTHで解決できればいいなと思います。
ライブ本番までのリハの前後でケアできるのは、相当に助かります。
大手の楽器店にいたスタッフもいるので、楽器の調整やパーツ交換、電源まわりなど簡単なリペアや修理にも対応しています。ボディが割れたとか深刻な修理は急には難しいですが、「とりあえず今日の本番はしのげるぞ!」という所までは何とかしたいと思います。みんなに便利に使ってもらえれば幸いです。
オープンから約半年経ちましたが手応えはいかがですか?
スタートとしては上々だと思います。TRI-TONE(前)から使ってくれていた人も引き続き使ってくれていますし、新しく来てくれた人もいます。レッスンも行っているので、そういったところからお客さんも増えてきました。ふらっと楽器を見に来る方もいらっしゃいますし、ネットを見て来ていただける方もいますよ。
確かな手応えですね。スタジオ内に楽器ショップがあるのは他店との差別化になっているようですね。
そうですね。スタジオを使うことで、他の楽器屋さんでは出せないような音量で試奏もできますし、バンドメンバーとの練習がてらに試奏できます。特にエフェクターなど、楽器屋さんで試奏をした時はすごく良い音だったのに、いざバンド演奏で試したら、いまいち音が抜けないことって結構ありますよね。
なるほど、バンドリハーサル中に試奏できちゃうのですね。バンドマンだからこそのアイデアです。
また、楽器の買い取りもしていますので、使わなくなったエフェクターなんかを持って来てもらえば、リハーサル中に査定しておきます。リハ代がない時は、(必要のなくなった)機材を持ってきてくれれば、相当分をリハ代として精算できます(笑)。少しでもバンド活動のバックアップができるスタジオでありたいです。
バンドウーマンだった母からもらったギターが音楽との出会い
それでは続いて國友さんと音楽の出会いについてお聞かせください。
小学校4年生ぐらいの頃ですかね。みんなサッカーとか野球をやる年頃ですが、僕は膝が良くなかったので、スポーツをやる代わりに家で何かできないかと模索中、母からギターを渡してもらったことが音楽との出会いですね。
お母様がギターを? 何か音楽活動をされていたのでしょうか?
母はバンドウーマンで、僕が生まれる前からバンドをやっていたらしいです。だからギターの弾き始めは母に習っていました。あそこにある、スタジオ貸し出しのギターは母からもらったギターです。これは売り物ではないのですが、スタジオのみんなに使ってもらえればと置いてあります。
思い出のギターですね。その頃はどのような音楽を?
最初はアコースティックギターだったので、当時流行っていたミスチルとかスピッツとかを弾いていました。中学校では、文化祭でバンドやろうぜってことでGLAYやL'Arc-en-Cielのコピーをやっていましたが、ギタリストが多くて…。僕は母に買ってもらったベースを持っていたことから、必然的にベース担当になりました (笑)。そこからはベーシストですね。
その頃から、ミュージシャンを目指していたのですか?
そうですね。サッカー部や野球部みたいにモテるためには、やっぱり音楽かなあ、と思って (笑)。なので、大学も音楽大学に進みました。
音大出身! 見た目のイメージとギャップを感じます(笑)。
ハハハハ(笑)。名古屋芸術大学のサウンドメディア科という新しい科の3期生で、僕が入った頃はポップスやジャズの演奏からDTMを使った作曲・アレンジ、PA・エンジニアまで、全部ごっちゃのカリキュラムになっていて、あらゆることを学べました。
音楽制作のひと通りを習得できる環境だったのですね。
そうですね。全部できて楽しいなあ、という感じでした。4年制の音楽大学ですが、専門学校のような時代のニーズに合わせた新しい分野をいち早く取り入れている学校でした。
大学卒業後は、上京して音楽活動を?
はい。2007年に下北沢に来て、ちょうどその頃Club251のバイト募集があったので、すぐに応募してスタッフになりました。それからも251とは、なんだかんだずっと関わりがあって、このスタジオのオープンにつながります。おかげで、ずっと音楽に携われています。
バンドもボカロの制作も、全てをここの建物で完結
スタジオ経営とアーティスト活動を両立されているとのことですが、現在活動されているバンドについて教えてください。
はい。「ROZEO EMBLEM」というバンドです。そのバンド活動と並行して、うちのボーカル&ギター(針原翼)と鍵盤(棚橋テルアキ)は、それぞれ「はりーP」、「前略P」という名義でVOCALOID作品を作っていて、それらに関連するバンドのトラックも僕らが演奏をしています。そういったボカロ曲を歌ってくれたことがきっかけで、ネット上で活躍するシンガーの方のライブサポートやレコーディングに参加することも多いです。
ボカロ系の人気は高いですね。
ですよね。5、6年前、下北沢でバンド活動をやっていましたが、その頃はなかなか売れず。でも「曲はいいんだけどなぁ…」って言ってくれる人は多かったので、だったら初音ミクにうたわせてみよう、ということでやってみたところ、急に動きが出てきて、新しい展開が生まれました。
ボカロ系の活動とバンド活動との棲み分けはどういう感じ?
基本的にはバンドで作った曲が先にありきで、その楽曲を初音ミクに歌わせています。自分たちで生演奏できるのが僕らの強みでもあります。ボカロのおかげで、人気の出た楽曲もありますよ。
スタジオの運営と音楽活動の両立という点ではどうですか?
ボカロ関連の制作活動も上のレコスタでやっていて、全てをここの建物で完結できるようにする、というのも目標だったので、今はとてもいい感じです。うちのギターが店番している間に、僕がベースを録ったり、RECが終わったら店番を交代したり(笑)。
バンドマンにとってはうらやましい、理想的な環境ですね。それでは最後にLANDRUTHからメッセージをお願いします。
ミュージシャン目線で作っている便利な店なので、困ったことがあったら、うちに来て相談して下さい。できるだけ解決できるように頑張ります。僕たち自身もバンド活動をやっていますし、なにより、下北沢での生活も長いので、下北沢でライブの時に困ったら、ここに来て下さい!
本日は貴重なお話をありがとうございました。
インタビュー特集一覧(バックナンバー)