音楽スタジオファイル Vol.61

big turtle STUDIOS

big turtle STUDIOSについて
2010年オープン、2019年3月のリニューアルで、2つのブースとコントロールルーム体制にアップデート。才能あふれるアーティストが所属するレーベルorigami PRODUCTIONSのレコーディングスタジオで、origami アーティストのサウンドはもちろん、アーティストの要望に応じてさまざまな音作りが可能。スタジオ名の「turtle」はその名の通り「亀」を表し、origami PRODUCTIONSのロゴは「鶴」のマーク。「鶴と亀」末永く歴史に残せる作品作りを目指している。
big turtle STUDIOSお問い合わせ
big turtle STUDIOS公式サイト
世田谷区代田3-26-6 代田レジデンスA-8
小田急世田谷代田駅より徒歩5分(MAP

音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 big turtle STUDIOS 編

このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

big turtle STUDIOSエンジニア yasu2000氏

1976年生まれの岐阜県出身。大学卒業後DJとして単身渡米。ニューヨークの一流ミュージシャン達と共演。NYのレコーディング学校Institute of Audio Research卒業後、ブルックリンのBushwick Studio に在籍。グラミー賞作品も手がけたエンジニアNic Hardのアシスタントを務める。帰国後、origami PRODUCTIONSのハウスエンジニアとして多数の作品を手がける。

本日はbig turtle STUDIOS のレコーディングエンジニア、yasu2000さんにお話をお伺いします。よろしくお願いします。オープンはいつですか?

代田(世田谷区)で稼働し始めたのは2010年の前半あたりで、今の2ブースと2コントロールルームの仕様になったのは、今年3月のことです。

yasu2000さんがorigami PRODUCTIONS作品でエンジニアを担当されるようになった経緯をおしえてください。

2009年にオリガミ・プロダクション所属アーティストとのコラボオファーを頂いたのがきっかけで、対馬(origami PRODUCTIONS代表対馬芳昭氏)と仕事をするようになりました。当時のorigami PRODUCTIONSは、三宿にあった対馬の自宅を事務所兼スタジオとして活動していましたが、そろそろ事務所とスタジオを独立させたいということで、僕に声をかけて頂きました。

そのころ、yasu2000さんはどのような活動をされていましたか?

2005年にニューヨークから帰国後、日本でヒップホップグループとして作品をリリースしたり、レコーディングエンジニアとして活動したりしていました。

ご自身のスタジオ機材も持ち込んで、対馬代表とbig turtle STUDIOSスタジオ立ち上げたのですね?

はい、先述の三宿にあった対馬の自宅兼事務所兼スタジオには、ボーカルやギター、ドラム録音用のブースがありましたが、専属のエンジニアがいない状態でした。そこで、エンジニアである僕が、Pro toolsやいくつかの録音機材を持ち込んで合体したのが、「big turtle STUDIOS」のはじまりです。

以前は1ブース1コントロールルームのスタジオだったのですよね?

そうです。当初は、もう一部屋は事務所として使用していました。2018年の7月頃から、事務所側もスタジオに改装しはじめ、A・Bスタジオにわけて、それぞれにコントロールルームを設置しました。ようやく完成しましたので、最近のリニューアル告知となりました。

そのA・Bスタジオ2ブースを使って同時録音もできるのですか?

一方にドラムとベース、もう一方にギターアンプが入れば同時録音も可能です。音のかぶりの問題でベースやキーボードはライン録音となりますが、ベースは後でリアンプすることもできるし一発録りのグルーブ感や迫力は十分表現できます。

住宅マンション内のスタジオですが、防音対策について教えてください。

窓ガラスは木板で覆いグラスウールと遮音シートで防音しました。換気扇の位置も、窓から離れた所に移動して空気を送る簡易的なフィルターを作りました。唯一音漏れが懸念された配管は、グラスウール、クラフト紙で覆いました。ほとんど自分たちでやったので大変でした。ギックリ腰にもなりました(笑)。

周囲から音の問題は大丈夫ですか?

はい、対策しているので問題ありません。マンションの住人の方々にもご理解いただき、感謝しております。

big turtle STUDIOSスタジオでしか録れない音を追求

これだけの環境がDIYとはすごいですね。音響の特徴はどうでしょうか?

多くのコントロールルームは、たくさんの吸音材を張り巡らせて、響きを抑えた環境でスピーカーからの音をダイレクトにモニターしようとしていますが、あえて響きのあるサウンドを意識して鳴らしています。

あえて響かせる?具体的に教えてください。 

僕たちが生活しながら耳にしている音楽は反響しています。定在波が発生しやすいポイントには吸音させていますが、響きがある方が自然で聴きやすいためです。

スピーカーや機材にもこだわりがありそうですね。

最近、SM9というスピーカーを導入しました。FOCAL社のフラッグシップモデルで、ヨーロッパやアメリカでも人気の逸品です。このスピーカーは30Hzから40Hzの周波数を小さい音でも見えやすく作られていて、キックとベースの処理にもってこいです。さらに、リスニングポイントでフラットに聴こえるよう正確な測定と細かいデジタルイコライジング処理をしていますので、ここでミックスしたバランスはあらゆる環境で聴いてもばらつきがありません。マイクは定番のNeumann U87aiはもちろん、レトロで温かみのあるAKG THE TUBEをTELEFUNKEN ELA M 251 と同じ指向性に改造したものや、高解像度でエッジの効いたBrauner VM1、高域が鮮やかで繊細なBlue Bottleと、幅広いジャンルのヴォーカルレコーディングに対応できます。

あえて反響の多いセッティングを施すなど、他のスタジオとは趣向の違う方針をとっていると? 

「big turtle STUDIOSスタジオでしか録れない音」を追求しています。昔は天井が高く広いスタジオに、SSL等のコンソールが必要とされていた時代もありましたが、現在は、ミュージシャン各自が宅録してきたものを加工するなど、予算をおさえたコンパクトなスタジオが求められる時代に変わってきました。スタジオとしての価値を上げるには、その時代のニーズに合わせながら「個性をだす」だと思います。

yasu2000さんは、エンジニアとしてのみならず海外でのDJ活動など多くの経験を積んでこられましたが、音楽との出会いはいつですか?

音楽が好きだと自覚したのは、小学校3,4年生ぐらいです。枕元にSONYのラジカセをおいて深夜ラジオを聞いたり、小林克也のベストヒットUSAをみたりしていました。

どのようなアーティストを好んで聴いていたのでしょう?

7つ年上の兄の影響で、当時流行っていた洋楽を主にいろんな曲を聴いていました。マイケル・ジャクソンやデビットボーイなどの80年代ポップスや、セックスピストルズ、クラッシュ、トイドールズなどのパンクやロック等も聴いていました。兄からの影響はすごく大きかったです。

学生時代には、バンド活動もされていたのですか?

地元の岐阜で高校時代にバンド活動をはじめて、下関にある大学に進学してからDJをはじめました。DJ活動を通じてヒップホップやブラックミュージックに感化されました。

渡米されたのはいつごろですか?

2000年です。yasu2000は2000年からもじったくらいですから(笑)。

決意をもって迎えたミレニアムイヤー、ニューヨークでの活動は順調に進みましたか?

山あり谷ありで、語りだすと長くなります(笑)

海外とも結びつく可能性だってあるチャンスのある時代

では、そのあたりはまた改めてお願いします(笑)。しかし、単身ニューヨークに飛び込んで得た、人との出会い、肌で感じた5年間は、何ものにも代えがたい貴重な経験ですね。

そうですね、何もかも初めての経験でしたが、それらがスキルやノウハウに積みあがっていくのがとても楽しかったです。この経験は、確実に自分の財産になっている、自分はこれで生きていくんだ、と当時思いましたね。帰国後は一旦、岐阜に戻ったのち、2007年からニューヨークでの経験を糧に東京で活動を始めて、現在に至ります。

その経験がbig turtle STUDIOSでのレコーディングにフィードバックされているのですね。それでは最後にメッセージをお願いします。

これまでの音楽業界にあったオーディションを受けてインディーズに入り、メジャーにのし上がって知名度を上げていく、という流れから、個人発信から徐々に知名度を上げていき、それからインディーズやメジャー契約というアーティストが増えてきました。才能さえあれば、YouTube、Spotifyの再生回数という形で評価されるし、海外とも結びつく可能性だってあります。今がまさにチャンスの時です。レコーディングや音質の事など、どうしても自分にできない事などは、スタジオに相談するなりうまく利用して、自分の作品をどんどん作って発表してください。

明日を志すミュージシャンの励みになるメッセージです。本日は貴重なお話をありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽 BLOG / Twitter(取材日 2019年3月)

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