StudioASPが取材した音楽スタジオ・インタビュー特集(全66回・2014年3月〜2019年10月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

音楽スタジオファイル Vol.31

笹塚 MAJESTIC STUDIO

Majestic Studioについて
ワンランク上のスタジオをコンセプトに、緑がゆれる瀟洒なデザイナーズマンションの地下スペースに作られた「デザイナーズスタジオ」。PV撮影にも映えるアーティスティックなインテリア、それぞれ異なる表情をもつ全8部屋とゆっくり寛げるラウンジ・ロビーを備えたプロユースのリハーサルスタジオは、時間をデザインするミュージシャンの隠れ家的空間。エントランスをはさんで演劇・ダンス稽古スタジオの「笹塚メソッド」を隣接。
Majestic Studio お問い合わせ
Majestic Studi公式サイト
渋谷区笹塚3-9-10 TWIZA B1F
TEL:03-3378-2688
営業時間:9:00〜翌6:00

音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 Majestic studio 編

このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

笹塚Majestic studio店長 土澤弘秀氏

本日は笹塚Majestic studio店長の土澤さんにお話をお伺いします。まずはスタジオ設立の経緯を教えてください。

このスタジオは「既存のスタジオよりワンランク上のスタジオを作ろう!」をテーマに、2006年5月にオープンしました。

リハスタとは思えないほどの美しさと、おしゃれな内装に驚きました。

「デザイナーズスタジオ」というコンセプトで、音楽業界が右肩上がりの絶好調だった時代に、とんでもなく気合いを入れて作ったスタジオです。総施工費も相当かかってますよ(笑)。

スタジオ各部屋にそれぞれ雰囲気がありますね。

どの部屋も基本的にゆったりとした広めのスペースで、極端に明るい照明は避けて、ムードに重きを置いています。

スタジオ内でくつろげそうです。

一番大きなFスタジオは部屋内に大きなソファーを用意していますので、休憩も部屋の中で取れます。1部屋以外は喫煙も可能です。

サウンド面についてはどのような感じですか?

各スタジオ共にしっかり吸音しつつ、部屋によって壁や床の素材が違うので、反響や鳴りなど微妙に個性のあるスタジオが全8部屋そろっています。

ドラムセットも個性的なメーカーのものが多いですね。

Gretsch2台、CANOPUS2台、Pearlを取りそろえてます。ドラム練習でのスタジオ利用率は高いので、ドラマーさんにとっても興味をそそる楽しいスタジオにしたいですね。

ドラマーにとっては嬉しいですね。スタジオは撮影でも利用されているそうですね。

はい、スタジオでPV撮影をしているバンドもたくさんいます。各々、勝手に撮ってアップしてるようですので、こちらも発見次第ホームページに載せちゃってます(笑)。

僕が店長なので、全体的にまったり

ルーズで大らかな感じが良いですね(笑)。

ホントですよね(笑)。なにせ僕が店長なので、全体的にまったりしているかもしれません(笑)。でも、撮影でも良いので、どんどん使っていただきたいです。以前は、テレビ番組の撮影にも使われていました。店長である僕は後日聞かされたのですが、(苦笑)。

どのような番組で使われていたのですか?

テラスハウスという番組で、出演者がスタジオで練習するシーンをうちで撮っていました。かっこよく撮ってくれてましたね(笑)。

このスタジオで美男美女でしたら、それは絵になりますよね(笑)。

全くです(笑)。

近年はスタジオの数も相当量増えていますが、このエリアの状況について教えて頂けますか?

笹塚近辺の、とくに中野と新宿西口にリハーサルスタジオが増え続けている上、バンドの数が減ってきているので、競争は激しくなっていています。経営的には楽とは言い難いですね。まあ、そこはどこのスタジオさんも一緒だと思いますけど。

このあたりは大学が多いので、学生の利用も多いと思いますが、そのあたりはどうでしょうか?

明治の学生さんは多いですね。明大は1、2年生が明大前(和泉キャンパス)、3、4年生が駿河台なのですが、地方から上京する学生は、どちらも一本で通学できる笹塚あたりに4年間住むというケースが多いそうです。他、日本大学文理学部の学生さんも多いですね。(※笹塚駅から2駅となりが明大前駅)

実は、その日大文理は私の母校だったりします。でも、当時はこんなおしゃれなスタジオはありませんでしたよ。民家みたいなスタジオで、何も喋らないおじさんのスタッフがいる、みたいな。

昔ながらのスタジオってやつですね(笑)。でも、僕も栃木の田舎から出てきたので、それまで楽器屋さんに併設されているスタジオしか知りませんでしたから、栃木から東京に出てきた時は「何だ、ここは!天国か! ?

」と思いました(笑)。

中学生の時、Spiral Lifeをテレビで見て衝撃を受けた

ではここで土澤さんと音楽の出会いについて教えてください。

中学生の時、車谷浩司(AIR/ Laika Came Back)さんのSpiral Lifeをテレビで見て衝撃を受けたのがきっかけです。猛烈にギターが弾きたくなって、そこから音楽の道に入りました。高校時代はひたすらコピーバンドをやっていました。

どのようなバンドのコピーを演奏していたのですか?

THEE MICHELLE GUN ELEPHANTTHE MAD CAPSULE MARKETS、洋楽ですとレッド・ホット・チリ・ペッパーズレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、あたりですかね。

なるほど、結構ハードなバンドですね。担当はギターですか?

バンドはギターで参加していましたが、全ての楽器に興味があったので、ベースを借りたり、ドラムを叩かせてもらったり、家にピアノがあったので弾いてみたり。楽器については広く浅く、という方向性を、割と早めの段階で決めていましたね。

幅広くオールラウンドにこなせるのですね。作曲や編曲も担当しますか?

曲は他メンバーに書いてもらって、僕がアレンジをするという方が好きですね。

高校卒業後の進路はどちらに進んだのですか?

東京にある音楽専門学校のギター科に行きました。その頃はシューゲイザーが流行っていて、UKロック系のバンドをやっていましたね。

進学を機に栃木から上京してきたのですね。

はい、それで専門学校卒業の頃に通っていた代々木のリハーサルスタジオで深夜番を3、4年やりましたね。

音楽スタジオは楽器が何でも揃っていて、宝島のようだった

専門学校を卒業してすぐの音楽スタジオの深夜番はどうでしたか?

スタジオは楽器が何でも揃っていて、まるで宝島のようでした。しばらくして、このMajestic studioがオープンしたので手伝いに来たんです。それでここを見て「なんて素晴らしいスタジオが出来たんだ!」と感動しまして(笑)。シフトを、Majestic studioにフェードイン、代々木のスタジオをフェードアウトという感じで徐々に移行させ、気が付けば完全にこっちのスタッフになっていました。こちらに来てからも深夜番を6、7年やりました。

ということは10年も深夜番を!?体力面が心配になりますが…。

それが深夜の方が、すこぶる元気な感じです。完全な夜型人間ですね。まあ、辞めていく人も多いのですが、僕は全然辞めようとも思いませんでした。でも、結局深夜枠から引きずり降ろされて(笑)、2年前には店長になったので、今は基本昼からいます。

夜型人間とスタジオの深夜番は相性バッチリということですね。ところで、気になっている土澤さんの現在のバンドについて教えて下さい。

PYRAMIDOS(ピラミッドス)」というバンドでボーカルとギターを担当しています。海外の民謡ばっかりやるのがコンセプトです。

海外の民謡ばかりとは…、マニアックな香りがしますね。

昔からアングラ気質で、メジャーシーンには向いていないと思っていたんで、気が付いたら、そっちに行っていました(笑)。でも、それぞれの国では全曲が超メジャーな民謡音楽だという…(笑)。

アングラなはずがドメジャーという神秘(笑)。では最後に、Majestic studioからのメッセージをお願いします。

Majestic studioは、週5でも使いたくなる空間のスタジオです。じゃんじゃん遊びに来てください。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2016年6月)

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笹塚(渋谷区)
古くは江戸から甲斐国へ向かう甲州街道の里程標として、笹が生い茂る塚があったことが地名の由来。京王線/京王新線が乗り入れ(新宿から約5分)、甲州街道、中野通り、環状七号線に囲まれたアクセス至便なエリア。閑静な住宅街に小中高等学校が点在し、ガード下の京王クラウン街、北口の十号通り商店街、十号坂ストリート、南口の観音通り商店街など、庶民的で昔なじみの店が軒を連ねる