StudioASPが取材した音楽スタジオ・インタビュー特集(全66回・2014年3月〜2019年10月)のアーカイブです。掲載情報は取材当時のものです。

音楽スタジオファイル Vol.14

サウスサウンドスタジオは 2023年9月末 をもって閉店(営業終了)しました。

高円寺 South Sound Studio

South Sound Studio について
2010年オープン。地下鉄丸ノ内線「新高円寺駅」すぐそばに位置する、個人店ならでは落ち着いた雰囲気が人気の音楽スタジオ。最寄り駅からは徒歩1分、近隣に専用駐車場も完備。スタジオ内は様々な音量のリハーサルに対応できるようにしっかりした防音設計が施されており、バンド練習のしやすさには定評がある。機材関連ではドラムセットにこだわりを持っており、都内ではめずらしくツインドラムのリハーサルも可能となっている。
South Sound Studio お問い合わせ
South Sound Studio公式サイト
杉並区高円寺南3-1-4キングスコート2 B1F
TEL 03-3316-3061
受付時間 12:00(土日祝10:00)〜24:00

音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 South Sound Studio 編

このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。

South Sound Studio代表 菅佐原 俊介氏

高円寺South Sound Studio、菅佐原さんにお話を伺います。よろしくお願いします。まずはスタジオ設立の経緯をお聞かせください。

ここのスタジオ自体は20年近くあるんです。以前はKraft Studioというスタジオでした。僕はアルバイトとして6〜7年ほど働いてました。そんな中、Kraft Studioが諸事情により閉店することになったのですが、自分や他のスタッフを含め、やはり長年お世話になったスタジオにはとても愛着がありまして、なんとか残せないものかといろいろな方に相談・ご協力いただいた結果、2010年2月より新たにサウスサウンドスタジオとして生まれ変わることができました。

基本的には機材も含め前スタジオから継続する感じで引き継げたのですね?

そうですね。ギターアンプなどまだ使えるものはメンテナンスして、そして、ドラムとベースアンプ、そしてPAまわりは新しいものに変えました。

ドラムはLudwigRogersなど、こだわりが見えますね。

はい、こういう楽器は好きですね。僕の周りにも好きな人が結構いて譲ってもらったものもあって、それらも修理、調整して設置してあります。

このセンス、相当な好きものですね(笑)。

ドラムについては僕がドラムをやっているというのもありますね(笑)。シンバルはZildjianのArmandシリーズというモデルがすごく気にいってお客さまにも好評だったのですが、残念ながら今は廃盤になってしまいました。シンバルはコストと耐久性、音色の兼ね合いがすごく難しいですね。ウチのスタジオでは他店さんでよく置いてある厚めのシンバルよりも、少し薄めのシンバルを選ぶようにしています。

需要に合わせたチョイスですね。ちなみにレコーディングはしていますか?

レコーディングはやっておりません。ですが、ご自身で録音機材を持ち込んでレコーディングされるお客様は結構いらっしゃいます。当店で用意ある機材に関してはHPに記載しています。その他のご要望もご相談いただければれば柔軟に対応させていただいております。

大きな音量のリハーサルでも、バンドのアンサンブルが聴き取りやすい音響設計

スタジオの特徴についてお聞かせ下さい。

スタジオは16帖・10帖・8帖の全3室になります。特徴としては、大きな音量のリハーサルでもバンドのアンサンブルを聴き取りやすくするため、しっかりした音響設計のもとつくられています。ですので、部屋鳴りとしては若干デッドに感じられると思いますが、やはりある程度響きがあったほうが気持ちいいと思うので、その辺は反射板の施行で微妙な調整をしています。

菅佐原さんとしては鳴りの出る部屋にしたかった?

響きに関してはプレイヤーみなさんの音量にも関係してくると思うので一概には言えませんが、少なくともどんな音量のバンドさんにもストレス無く対応出来るスタジオ設計になっております。

ところで、高円寺には個性的なスタジオさんがたくさんあります。South Sound Studioさんは、どのようなお客さんが来ますか?

そうですね、特別うちだけという訳ではないですが、やはり高円寺という土地柄か、ご近所に音楽をやっている方が多くお住まいなので、個人練習についてはそういった方々のご利用がとても多いのが特徴ですね。クラシック系、ジャズ系、ロック系と様々な方にご利用頂いています。あとは、ライブハウスやライブバーが高円寺には多数ありますので、ライブ当日のリハーサルでのご利用が結構ありますね。それと高円寺ならではというところでは、毎年8月末に阿波踊りが開催されます。それに向けて地元の連の方々が打楽器の練習場所としてスタジオを利用して下さることもあります。

ライブハウスなどは、同じ街に店舗数が増えると活性化すると聞きましたが、スタジオはどうでしょうか?

スタジオも数があるに越したことはないと思いますが、数よりは場所が重要になってきます。リハーサルスタジオってバンドメンバーが集まりやすい場所の方がいいんです。ある程度、年齢も重ねるとみんな色んな地域に住みだしますから、主要な街で集まりやすい場所にあるってことがポイントになるのだと思います。

確かに、主要な街には必ず大きいスタジオがありますね。

主要エリアにチェーン展開している大手スタジオさん等、大きいところは、それだけで人が集まってきますからね。だから、僕らみたいな個人でやっているスタジオは、場所以外の“プラスα”になるものが必要になってくると思います。

TINKER RECORDSレーベルで自分が良いと思うバンドの作品をリリース

なるほど。South Sound Studioさんのプラスαとは?

プラスαとしては、自分が良いと思うバンドの作品をTINKER RECORDSというレーベルを立ち上げてリリースもしています。ロビーに飾ってあるバンドのアルバムもうちでリリースしました。京都のshakin’hip shakeというバンドの中島英述さん(パブロック革命 訳者)との出会いからアメリカのNRBQというバンドの国内盤も制作しました。

菅佐原さんのセンスがリリース作品に反映されているのですね。

パブロックと呼ばれる音楽が好きなのですが、そういう音楽が好きな人のアンテナにも引っかかるような活動をしていけたら面白いかなと。パブロックって音楽ジャンルというわけではなくて、本当に色々な音楽性のバンドがいて、それらみんなの活動が結果として面白いムーブメントを起こしていた事だと思うんです。そんなイメージで、練習するだけのスタジオでなくて、ここに来たら色々な出会いや繋がりが生まれる場所になればいいなと思っています。

菅佐原さん自身は、いつぐらいから音楽と触れ合ってきたのですか?

僕がドラムをやり始めたのは21〜22才くらいからで、ここにあったドラムスクールに通い出してからなんです。それが初めての演奏活動となります。

少し遅めだったのですね。そして、この場所から始まった!

そうですね。振り返ってみれば、自分がスタジオの運営や音楽に携わる活動をするにあたって、以前のKraft Studioの頃からの出会いに大きく支えられていると思います。演奏をするようになってからは、自分が聴いていたミュージシャン達ともライブハウスなどで出会えるようになりました。音楽活動は大変なこともあるけれど、続けていると良いこともあるのだなあと思います。

聴いていたミュージシャンに実際に会えると嬉しいですよね。

そんな出会いの中で自分が感じた事ですが、現在プロの方でも音楽だけで食べて行くのは本当に大変なことのように感じます。僕としてはアマチュアの方、プロの方を問わず、何かしら協力出来る部分があったら関わっていきたいと思っています。

稼ぐことに必死になって音楽性を失ってしまっているミュージシャンも目にします。

そうかもしれませんね。ただ、長く続けていれば色々とあるでしょうし、どの時期も最高の状態でいられるのは難しいことだと思います。僕としては良い時も悪い時もなんと言うか・・・当事者だけではなんともし難い部分を、それこそ第三者との関係性で救われることって本当あると思うんです。そういったことも踏まえて、このスタジオを通した出会いの中で音楽を続けていける環境を提供していけたらと思っています。

“ライブ”の下地作業をお客さんと一緒に作りあげていきたい。

その思いも素晴らしいプラスαの部分だと思います。それでは、South Sound Studioさんからのメッセージをお願いします。

音楽を伝える手段として一番ダイレクトな方法がライブだと思います。そのライブの下地作業をお客さんと一緒に作りあげていけたらと思います。機材に関しても、スタジオ常設機材以外にも色々と集めている物もありますので、好きな者同士(笑)情報交換が出来る場を共有して行きたと思います。

あと当店ならではというところでは、うちはドラムのレンタルをしていますのでツインドラムで演奏して頂けます。ツインドラムのバンドさんはそう多くは無いと思いますが、もしツインドラムの形態でやっているバンドさんがいたら、ぜひウチを使って頂きたいです。

ツインドラムが出来るスタジオはそうそうないですよね。持ち込みがほとんどだと思います。

そうですね。都内でツインドラムが出来るスタジオは少ないとお客さんからも聞いております。

あっ、それとツイン繋がりで全くの余談ですが、実は僕は双子の弟でして、双子の兄と一緒にツインズでスタジオを運営しています。常連のお客さんはすでにご承知頂いておりますが、店番をしていると新しいお客さんにはよくビックリされるので(笑)この場をお借りしてお知らせさせて下さい! ちなみに兄はベーシストですので、ベースのことなら色々と話しが出来ると思います。

なるほど! ベーシストの兄とドラマーの弟のツインズ了解です。本日はありがとうございました。

いえいえ、こちらこそありがとうございました。

インタビュー&ライター 浅井陽(取材日 2015年10月 / 更新日 2023年11月)

インタビュー特集一覧(バックナンバー)

バンドメンバー募集のメンボネット ミュージックジョブネット
サウンドペディア
新高円寺駅(東京メトロ)
高円寺エリア南西の丸ノ内線新高円寺駅周辺は、駅前には高級スーパーがあるものの、青梅街道沿いにはディープな居酒屋や、多国籍な料理店が並ぶ。北上すると住宅街の中に、オーガニックなレストラにやおしゃれな雰囲気のカフェ等が目立ち、さまざまな表情が楽しめるエリアである。
TINKER RECORDS
TINKER RECORDSリリース作品及びSouth Sound Studio取り扱い作品
  • NRBQ「WE TRAVEL THE SPACEWAYS」国内盤
  • NRBQ「BRASS TACKS」輸入盤
  • ザ☆ダンス天国「HIGHWAY26」
  • Shakin’hipshake「EVIL EYES」
  • ハリケーン湯川「HOUSE ROCKER」
  • 藻の月「玉藻の前」(mesa works)ほか
音楽スポット探索ガイド
新高円寺CLUB LINER
クラブライナー
LiveWalker丸の内線・新高円寺駅(梅里方面口)から徒歩2分、青梅街道沿いにあるミュージシャンによるミュージシャンと音楽好きのための等身大ライブハウス。キャパ約200。歯科医院の地下、水色の看板が目印。
新高円寺Kanademia
カナデミア
LiveWalker音楽ライブと映像、動画配信にも力をいれる最大キャパ70人のライブハウス。あさがやドラムとのコラボ企画を実施。新高円寺駅より徒歩1分、五日市街道入り口交差点すぐ裏に2013年9月オープン。
LAST GUITAR
ラストギター
LiveWalker南阿佐ヶ谷・青梅街道沿いのギターショップ。「弾いて楽しく、次世代へも残していける楽器」をモットーに、アメリカ買付やUSED、アコギ・ウクレレも充実。初心者向けレッスン、インストアLIVEも開催。1Fセブンイレブン。
ニュースター楽器 阿佐ヶ谷センター
ニュースター楽器 阿佐ヶ谷センター
LiveWalker南阿佐ヶ谷駅から徒歩3分、青梅街道沿い「すずらん通り商店街」入口にある音楽教室。ヤマハ音楽教室と楽器店オリジナルの個人レッスン(ピアノ、エレクトーン、ギター、管・弦楽器)を開講。