音楽スタジオファイル Vol.64
SOUND STUDIO NOAH 渋谷1号店
- サウンドスタジオノア渋谷1号店について
- 渋谷駅東口のヒカリエ経由徒歩5分、青山通り(国道246号)沿いにある全12部屋のリハーサルスタジオ。6帖~17帖の11部屋のバンドスタジオとボーカルブースのバリエーション豊かなラインアップで、バンド練習やセルフレコーディングはもちろん、ダンスやDJ練習、歌ってみた・弾いてみたなどで「SNS映え」するビジュアル発信にも最適。2019年6月リニューアルしたスタジオでは音と光が同期したエフェクト照明も装備し、練習場所から「魅せるスタジオ」へ、リハスタを超えた演出空間を実現。
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渋谷区渋谷2-14-17 渋谷SSビルB1/1F
TEL:03-5485-1441
24時間営業
音楽スタジオの中の人に話を聞いてみた〜 スタジオノア渋谷1号店 編
このコーナーは音楽スタジオでミュージシャンをサポートしてくれる「中の人」に突撃インタビューして、色々お話を聞いてしまおうというコーナーです。中の人の皆様、ご協力ありがとうございました。
音に連動するLEDの演出で、インスタ映えにリニューアル
本日は2019年6月27日リニューアルオープンしたサウンドスタジオノア渋谷1号店の店長、新井智哉さんにお話をお伺いします。まずは渋谷1号店の紹介をおねがいします。
2005年1月にオープンした渋谷宮益坂上にある全12部屋(地下7部屋、1階5部屋)のスタジオです。バンドはもちろん、ダンスやDJの練習にもご利用いただいています。
今回リニューアルされたスタジオとそのポイントについておしえてください。
1階の「A5St」、「B5St」、「E2st」を6月27日に、地下1階の「E1St」を7月6日にリニューアルしました。1階の3部屋は、すべて解体してから完全に新しいスタジオを作りました。「インスタ映え」も意識して、LEDライトでかなり凝った演出ができる仕組みを導入したのが大きな特徴です。
前回は、ノア渋谷2号店を取材させてもらいましたが、こちらの1号店は、また違った雰囲気ですね。
はい、立地的にもちょうど対照的なところにあって、渋谷2号店はライブハウスがひしめく宇田川町エリアで、バンドマンや若い世代が多いですが、ここ1号店は表参道も徒歩圏で、年齢帯も幅広く、平日は事務所に所属している方の利用や、平日は仕事帰りのサラリーマンも多いという印象です。
スタジノアは完全な分煙化、ロビーも禁煙です。他のスタジオではまだ喫煙可能なところがありますし、バンドマンは喫煙者も多いですよね…。
もはや完全分煙は必須ではないでしょうか。じつは、僕も喫煙者なのですが、ふと(自分が吸っていないのに)タバコのニオイがするなぁと思ったら、自分の服だったという経験があります。それが非喫煙者だったら相当に不快だろうと想像できます。喫煙者の方には、地下一階に完全に分煙されたすてきな喫煙所があるので、周囲に気兼ねなく、むしろゆっくり一服していただけます。
タバコつながりで聞いてみたかったのですが、ロビーでアルコール類を飲んでもよいですか?
こちらもタバコと同様に、お酒のにおいが残ったりするような、たとえば複数人で酒盛したりする、みたいなことは、他のお客さまもいますので原則禁止とさせていただいています。が、ちょっと練習が終わったあとにコンビニで買ってきたビールを飲むくらいのことは、まあ良いかなと思います。
スタジオノアは、いわゆるバンドマンが集うリハスタとやや異なり、すっきりと洗練されたイメージですね。
そうかもしれませんね、スタジオの室内だけでなくロビーから洗面所まで、「すべての方」に配慮したスタジオを目指しているので、そう感じていただけたらうれしいです。
それでは、新井さんがスタジオノアに入ってから渋谷1号店の店長になるまでの経緯をおしえてください。
大学4年の2015年春ころに渋谷2号店にアルバイトで入りました。それから池尻大橋店、都立大学店を経て、2016年1月に駒沢店に入り、しばらくしてから副店長を任されました。そして2017年の4月に店長として、ここ(渋谷1号店)にきました。
とくに最初のころは、店舗の異動が多かったようですね。
はい、さまざまなタイプの店舗を経験しました。とくに、池尻大橋店は小さな店舗で戸惑いましたが、お客さまとの距離が近くて、自分の肌に合っているなと思いました。一方、都立大や駒沢大はノアのなかでも大型店舗で、スタジオ以外の仕事も多かったので、それはそれで大変でしたね。
いろいろな店舗で経験を積んで店長になられたわけですが、店長職というのはやはり違いますか?
仕事量は格段に増えました。最初の3、4カ月は、(店長として)マネージメントする側というのは、自分的にしっくりこないな、と思うこともありました。副店長時代のように、現場の一員として一歩引いて仕事を振っていたときのほうが、広い視野で行き届いた仕事ができていたような感じはあって。
当然ながら責任も重くなりますからね。そういうことも現場で学びつつ、渋谷1号店で店長となって3年目に入りました。
正直、いまも完全にこなせているかというと、そうとは言えないのですが(苦笑)。店長として、さまざまなことを自分の主導権で決めて、仕事を振りながらやっていくのは、やりがいのある仕事です。自分はついつい夢中になると全体的な視野が狭くなってしまうクセがあるので、気をつけながらやっていきたいと思います。
Amazonで買った、2万2千円のIbanez入門モデルギター
話をさかのぼって、スタジオノアに入るまでのお話をお伺いします。ご出身と音楽の出会いについておしえてください。
群馬県桐生市の出身です。音楽の出会いは、祖母にもらったカシオの鍵盤が光るキーボードだと思います。幼稚園のころからゲームや絵本には目もくれずに、ひたすらそのキーボードを弾いて遊んでいた記憶があります。音楽というより楽器演奏に興味がありました。
幼少期から音楽を習っていた?
いいえ、子どものころからずっと水泳をやってきたんです。高校も水泳を続ける目的でスポーツの強い高校に進学して、水泳の関東大会にも出ていました。
高校までずっと水泳を!体力がつきそうですね。
はい、体力はあると思います(笑)。音楽活動ができるようになったのは高校に入ってからです。ピアノを習い始めて、水泳仲間に見せてもらったスティーヴィー・レイ・ヴォーンの動画に感動してギターにも目覚めました。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンって、新井さんの年齢的に渋すぎませんか?
渋いですね(笑)。リアルタイムは9mm Parabellum Bulletの人気がぐんぐん出てきたあたりの世代で、有名なところだとRADWIMPSやマキシマムザホルモンなんかも聞いていました。それからアマゾンの通販で2万2千円のアイバニーズ入門モデルギターを買いました。
アマゾンで「ポチった」アイバニーズのギター、安すぎませんか(笑)
それに留まらず、しばらくしてからハードオフでフェンダーのギターアンプを1,000円で買いました(笑)。高校2年のときですね。それからギターを練習しまくりました。
リサイクルショップの1,000円アンプ、ジャンクすぎます。ちゃんと鳴りました?
ガリまくっていましたけど、ゲインが2個ついたヤツでそれなりに鳴ってました(笑)。そのうち、友人からZoomのすごく古いマルチエフェクターを貸してもらって、エフェクターにも目覚めました。BOSSのOS2、BD-2、Custom Audio Japanのワウ・ペダルなんかも揃えていました。
大学に進むときは、水泳を続けるつもりはなかった?
はい、ふつうにセンター試験を受けて埼玉の進学しました。水泳は高校に入ってから周囲のレベルがグンと上がって自分ではむずかしいかなと感じるようになって…。その代わり、大学では念願の音楽活動を本格的にスタートしました。渋谷イシバシ楽器でローランドのJUNO Gi(キーボード)も買いました。
やっと音楽活動に専念できるようになったのですね。リハスタを使ったり、ライブハウスに出たり?
そうですね、大学内の音楽練習室もありましたけど、北浦和CANDYや南浦和PACKSなどのリハスタを使い、北浦和エアーズ、北浦和キャラなどでライブもやりました。大学のイベント企画でヘブンズロックVJ-3や川越DEPARTUREに出たこともありますね。勉強もそこそこに、音楽活動に打ち込んでいました(笑)。
つづいて、その後のスタジオノアに入る経緯をお聞きします。最初から音楽業界を目指していたのですか?
いいえ、ごく一般の合同就職説明会に参加していました。父親が定年まで同じ会社に勤めていたので、就職したらずっと同じ会社にいるものなのかな、という感覚で就職活動をしていました。ところが途中で就職活動そのものに疲れ切ってしまって、3月ごろにいったん就職活動を完全に辞めました(苦笑)。
その当時はまだ就職活動の開始が早い時代だったですからね…。就職活動が長引くと消耗しそうです。
それでバンド活動を再開したり、バイトをしたりしているうちに、僕には自分の興味ないことは続かない、好きなことをやったほうがよいのではないかと考えたり、バイトを通じて自分には接客業も向いていることを発見できたり、徐々に進むべき方向性というか、軸が定まってきました。
人生において、とても重要な決断の時期ですよね。
そう思います。そんなとき、音楽業界情報サイトでスタジオノアの求人情報をみつけました。じつは、その時点で就職内定が決まっていたのですが、これこそ自分にあった仕事なのではないかと思い応募してみました。
せっかく内定が決まっていた上に、音楽業界となると決断に不安はなかったですか?
あまり考えませんでしたね。むしろ、このままだと自分の知らない業界で一生過ごすかもしれない、ということの方が不安でした。音楽スタジオなら、どのような仕事なのかイメージしやすかったのであまり迷いはありませんでした。いや、いま思えば、ただ能天気だけだったのかもしれませんね(笑)。
業界の好循環サイクルのため、スタジオマンとしての仕事に全力で
最近、バンドやミュージシャンの活動が、その他のエンタメ勢に押されていると感じます。そのあたり、スタジオ運営側として今後の展開も含めてどのようにお考えですか?
歌ったり、楽器を弾いたりする人の数自体が減っているわけではないと思います。ネットだけで音楽活動している人もいますし、YouTubeや教則動画もたくさんあるので、音楽人口が増える潜在的な環境は整っています。そこをスタジオ利用にどうつなげていくのか、というところですね。
ネットだけで完結できる時代に、あえて「外」に出てきてもらうにはどうしたら良いでしょうか?
今回のリニューアルで意識しているポイントでもありますが、SNSやネットで「誰かに見せたい」と思ってもらえるような仕掛けや、かんたんに配信できる仕組みを充実させることで、画像や動画とともに音楽スタジオという存在がネットで配信される、結果としてスタジオの利用につながる可能性があります。
そうですね、ノアのスタジオを使って撮影や配信している動画も増えていると思います。
どのような時代でも、スタジオでかっこいい音楽が生まれる、それが世の中に出て、その音楽を聴いたり、MVを見たりして感動した人が楽器やバンドをはじめる、その人たちがまたスタジオ(を使いに)に来る、という循環サイクルは変わりません。スタジオマンとして「すばらしいスタジオを提供する」という部分に全力で取り組むことで貢献していきたいと思います。
時代の変化に合わせて進化しつつ、サービスとしての基本をしっかり押させていくということですね。それではラストメッセージをおねがいします。
今回のリニューアルでは、とくに光と音が同期するような「SNS映え」を意識しました。ライブ気分のリハや、かんたんなMV撮影もできます。練習する場所から、自分自身も演出できる楽しい空間のスタジオができました。ぜひ、多くの方のご利用をお待ちしています。
新しいスタジオ、テンション上がりますね。渋谷エリアで活動されている方は一度試してみてほしいと思います。本日はありがとうございました。
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